リクセルを用いた透析治療を徹底解説!β2ミクログロブリンの除去と透析アミロイドーシス対策の最新情報

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悩む人

リクセルってなんだろう?原理や仕組みを分かりやすく知りたいなぁ…

こんな疑問を解決します。

まず、この記事の結論です。

結論
  • β2MGは、透析アミロイド症の原因物質。
  • リクセルはβ2MGのほか、サイトカインも吸着除去する。
  • リクセルはダイアライザ前(上流)に接続する。
記事の信頼性
  • 総合病院勤務の臨床工学技士。
  • リクセルの使用経験あり。

この記事を書いている僕は、社会人3年目の臨床工学技士です。

今回は、『リクセルを用いた透析治療の全てを解説!β2ミクログロブリンの除去と透析アミロイドーシス対策の最新情報』というテーマで、解説していきます。

この記事では、臨床工学技士の私がリクセルについて分かりやすく説明していきます。

臨床経験のない学生さんにも、分かりやすく解説しているので参考にして下さい!

前置きはさておきですね。

では、いきましょう( ゚д゚)

目次

リクセルとは?なぜ使用するの?

リクセルとは、β2-ミクログロブリン(β2MG)を選択的に除去するために使用される吸着型血液浄化器です。

また、現在このβ2MG吸着血液浄化器は、リクセル(株式会社カネカメディックス)のみ販売されています。

β2-ミクログロブリンってなに?

β2MGは、分子量11000の蛋白で長期血液透析合併症の一つである透析アミロイド症の原因物質です。

つまり、このβ2MGを吸着除去することで、透析アミロイドーシスの治療を行います。

透析アミロイドーシスとは?リクセルの効果

透析アミロイドーシスは、先ほども述べたように長期透析患者に発生しやすい合併症の一つです。

β2MGがアミロイドとして沈着し、関節や骨、腱などに障害を引き起こすことで、手根管症候群や関節痛を招きます。

リクセルを用いた吸着療法では、血液中のβ2MG濃度を低下させることが可能であり、症状の緩和や進行抑制が期待できます。

β2MG以外も吸着除去される?

リクセルでは、β2MGの他にサイトカインも除去されるとの報告があります!

詳しくは、サイトカインのうち、分子量が 30000 dalton 以下の IL-8、IL-1β、IL-1Ra、IL-6 がリクセルにより高率に吸着・除去されるそうです。

リクセルでは、β2MG以外の分子量4000〜20000の蛋白も吸着される。
分子量が 30000 dalton 以下のサイトカイン( IL-8、IL-1β、IL-1Ra、IL-6)も吸着される。

リクセルの吸着原理

リクセルは、2つの作用でβ2MGを吸着除去します。

リクセルのカラム(筒状のフィルター)には、直径 460 μm 程度の多孔質(穴がたくさんある)セルロースビーズが詰まっています。

これらのビーズがβ2MGを吸着することで、血液から不要なタンパク質を取り除きます。

吸着の仕組みには、主に 「疎水性相互作用」「分子ふるい効果」 の2つがあります。

① 疎水性相互作用

β2MGには、水を避ける(疎水性を持つ)部分があります。

リクセルのビーズにも同じような疎水性の性質があるため、β2MGが自然とビーズに引き寄せられ、くっつくことで吸着が進みます。

これは、油が水を弾くのと似た性質です。

② 分子ふるい効果

リクセルのビーズには、特定の大きさの分子だけが入り込める細かい穴(細孔)があるため、β2MGのようなサイズの分子を選んで吸着します。

これにより、小さい分子は通過し、大きすぎるものは入らず、ちょうど良いサイズのβ2MGが効率よく除去されます。

そのため、前述したようにサイトカインも除去されます。

リクセルの使用方法

リクセルは、通常の血液透析と併用して使用されます。

また、リクセルはダイアライザの前(上流)に挿入し使用します。

参考:リクセルイメージ図

リクセルをダイアライザーの前に接続する理由?

それは、リクセルの添付文書内の使用例の図で書かれているため、ダイアライザーの前に接続する施設が多いからです。

私の施設でも、ダイアライザーの前に接続していました。

見てもらう方が早いので、実際のリクセルの添付文書内の図を紹介します。

引用:リクセル添付文書

ここでは、「原則として透析器と直列に接続して使用する」としか記載されていません。

つまり、ダイアライザー後に使用しても問題ないと考えられます。

そして、実際に施設によってはリクセルをダイアライザーの後に接続しているところもあるそうです。

リクセルをダイアライザーの後(下流)に接続する効果

ある研究発表では、リクセルをダイアライザーの後(下流)に接続することで2つの効果があったそうです。

  1. 除去効率の向上
  2. 生体適合性の改善

また、リクセルをダイアライザーの後(下流)に接続しても、今のところトラブル(有害事象)は生じていないそうです。

詳しく研究発表を知りたい方は下記のURLからご覧になれます。https://www.jinkoutouseki.jp/study/study_hi_no34.pdf

リクセルの適応条件と治療対象者

リクセル治療は、以下の条件を満たす透析患者に適用されます。

  1. 手術や生検でβ2MGによるアミロイド沈着が確認されている。
  2. 透析歴が10年以上あり、手根管開放術を受けたことがある。
  3. 画像診断で骨嚢胞が認められる。

その他、リクセル療法は血液透析と併用しなければなりません。

また初回使用日から1年間を上限とします。ただし、使用を終了しても再び症状が出現すれば、②、③を満たせば、さらに1年使用することができます。

リクセルのカラムサイズと治療効果

リクセルには3つのカラムサイズがあります。

カラムサイズの種類と特徴

リクセルには、以下の3種類のカラムがあります。

  • S-15: 透析中に血圧が低下する傾向のある患者や高齢者。プライミングボリューム65ml
  • S-25: 循環動態が安定している透析患者。プライミングボリューム105ml
  • S-35: 一般的に使用される。プライミングボリューム177ml

一般的に多く使用されるのは、S-35です。

しかし、血圧低下の危険性が高い患者には、適宜カラムサイズをダウンして使用するようリクセルの添付文書内に記載があります。

カラムサイズのごとのクリアランスの違い

カラムサイズが大きくなるほど、クリアランスも大きくなります。

  • S-15:約28 mL/min
  • S-25:約44 mL/min
  • S-35:約60 mL/min

しかし、これはリクセル単体のクリアランスです。

ハイパフォーマンス膜のダイアライザのβ2MGのクリアランスはおおよそ45 mL/minと言われています。

そして、リクセルとダイアライザの組み合わせた時のクリアランスは、下記のようになります。

  • S-15:約61 mL/min
  • S-25:約78 mL/min
  • S-35:約84 mL/min

まとめ

今回は、『リクセルを用いた透析治療の全てを解説!β2ミクログロブリンの除去と透析アミロイドーシス対策の最新情報』というテーマで、解説しました。

結論は下記のとおりです。

結論
  • β2MGは、透析アミロイド症の原因物質。
  • リクセルはβ2MGのほか、サイトカインも吸着除去する。
  • リクセルはダイアライザ前(上流)に接続する。

リクセルは、β2MGを吸着除去することで、長期透析患者の合併症である透析アミロイド症の改善効果があります。

しかし、透析患者の誰もが使用できるのではなく、適応条件等の制限もあるので注意が必要です。

しっかりと学んで生かしていきましょう!!

また、透析について詳しく学びたいのであれば、透析技術認定士を目指すのが良いです!

目標があるとモチベーション高く学習することができます!

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また、今回参考にさせて頂いたサイトは下記の通りです。

1)KANAKA MEDICAL PRODUCTS/透析アミロイドーシス/β2-ミクログロブリン吸着カラム

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